煌く綺羅の夜 -第八章 大波到来!?波乱の予感!?- 「…鎧綺入るぞ…」 由騎夜は、部屋に戻った鎧綺の後を追って二階にいた。 理由はもちろん、蓮花のことを言うためだ。 鎧綺の反応が無いので、由騎夜は部屋に勝手に入っていく。 部屋に入ると、鎧綺は窓の縁に腰を下ろして外を見ていた。 「おい…なんで彼女にどっちがいい≠セなんて聞いたんだ?」 「…何でだ、なんて。そんなの分かるだろ?俺が蓮花ちゃん気になるから…お前もだろ?」 鎧綺の口調はどことなく…意味を含んでいるように聞こえた。 「俺が何だって言うんだ」 「へぇ――。言われなきゃ、わかんねぇのか?なら言ってやるよ。お前は蓮花ちゃんが好きだ!可愛くてしょうがないはずだ!」 「そんなこと・・・」 「違うのか?じゃあ、何であんなにさっき怒った?俺に奪われたくなかったからだろ?」 「それは…お前の毒牙に彼女を触れさせたら不味いと思って…」 「あぁ、そうか。なら… 鎧綺は妙な笑顔を浮かべて由騎夜に寄った。 由騎夜は居た堪れなくなって部屋を出て、一階に下りて行った。 「なんだ…結局、好きなんじゃんか」 鎧綺はポツリと呟いた。 一階では蓮花と稚林が料理を作り上げていた。 「あ!由騎夜さん!今、呼びに行こうと思っていんですよ!」 「あぁ…鎧綺のこと呼んで来てやってほしい。ちょっと出かけてくるから。気にしないで食べてていいから」 稚林は蓮花と由騎夜の会話を黙って聞いている。 「あ、由騎夜さん…?」 蓮花の呼びかけも虚しく…由騎夜は出ていってしまった。 「助かったよ…ありがとう」 店を出たヨーシュは、四葉が助け船を出してくれたことに対し、単に礼を言った。 「別にあんたのためじゃない。あの女のくだらない話を聞いているのが嫌だっただけだ」 さっきの口調が嘘のように元に戻っている。 天紅はそんな二人の様子をかわいい首を傾げて見ていた。 と、その時ヨーシュは前方からやってる一人の青年に気づいた。 由騎夜だ。 どこか、いつもと様子の違う由騎夜をヨーシュは変に思い声をかけた。 「由騎夜君…?どこに行くんだい?」 四葉もヨーシュが声をかけた青年を見る。 「・・・!!」 由騎夜はヨーシュと一緒にいる人物を見て息を飲んだ。 (伽代…四葉…。や、やっぱり…でも。何でこの村に?) 由騎夜は四葉の魔力を咲那にいたころ何度か感じたことがあった。 だから、蓮花とあの森にいた時まさか…≠ニは思ったのだが…その時は本人が杜樂にいるなんて考えもしなかったので、とても驚いた。 一瞬、思考回路が停止した。ほんと、一瞬ではあったが。 「ちょっと…頭を冷やしに。ヨーシュさん、早く宿に戻って下さい。そちらの方も…夕飯の支度が出来てましたから…」 そういうと由騎夜は二人の横をゆっくり通り過ぎて行った。 ――― 一方… 「鎧綺さん、お祭りってどんな感じですか?」 稚林も混ぜた夕食の席で蓮花が聞いた。 「ん?あぁ、そういえば明後日かぁ…そうだなぁ、何か、若者が騒いでるな。出店というより、う〜ん、円舞の方が楽しいかな? 好きな相手と踊れると、ああ、女の子の場合は好きな相手から円舞の申し込みを受けると、その恋はうまくいくっていう話がある…。 本当かどうかは知らないけどね」 「へえ〜、そうなんですかぁ〜。ちーちゃんは、踊りたい人いるの?」 急に話を振られて稚林は困った。 「え!?あっ…その…踊りたい人ですか…?ぃや…そんな…(ゴニョゴニョ)」 「アハハ。可愛いな、照れるなんて」 鎧綺に可愛いと言われ、稚林は顔が沸騰しそうだった。 「ところで…」 鎧綺が何か言いかけたところで、ヨーシュと…四葉が帰ってきた。 「!!」 四葉は言葉が出なかった。 「四葉お兄ちゃん!?」 ガタンと椅子の音を立てて蓮花も立ち上がっていた。 その場にいた三人は二人が知り合いだったことに驚き、ただ黙って二人を見ていた。 「…蓮花…元気にしてた…か?」 いよいよ蓮花と四葉の再会で波乱の予感?? その時、由騎夜は? そして、森にただ一人の煌瑚は…? <第八章 終> 2010/01/26(past up unknown) ← → 煌綺羅 TOP |