煌く綺羅の夜 - 第十三章 過ぎた嵐―激動の果てに― - 抱き寄せたまま、どれくらいの時間がたっただろう。 「鎧綺くん?さっきの話だけど…って、あのね…腕を…」 「ん?」 「あのね…恥ずかしいから…あの、腕を、は、離してもらえる?」 「あー、嫌だ。…って言ったら?」 「え…そんな…」また泣き出しそうである。 「(泣かれるのは)困ったな、わかったよ」 鎧綺は抱き寄せていた稚林の身体を開放する。 稚林を離して、鎧綺は自室にいる時と同様に、窓の桟に腰かけた。 「で?何か言いかけてなかったか?」 「あ、うん…さっきの…話ね、…嬉しいんだけどね…お母さんに…聞いてみないとね…」 「んー、そうだな…。わかった、俺が言うよ」 「えっ?」 「いや、稚林が言うことないよ。俺が…言ったわけだし。…男としての…まぁ、問題もあるし…さ」 柄にもなく、この時の鎧綺は少し照れていた…。 「…あとね…お姉ちゃんが…」 「あ?あぁ、祢音がなんだ?」 「…鎧綺くんのこと、ずっと好きでいたから…私が鎧綺くん達と暮らすことになったら…」 「大丈夫だょ」 と言って鎧綺は微笑んだ。 「祢音が何か言ってきても、何かしてきたとしても、俺がついてるし、俺が稚林を守るから、なっ?」 「…鎧綺、くん…」 稚林はまたまた泣き出してしまった…。 「ったく、稚林は泣き虫だな。(そこも可愛いけどさ)ほら、泣くなって」 鎧綺は泣きやまない稚林をもう一度、抱き寄せ、頭を抱いてやった。 「…ヒック…ック……かい…きく…ック…ふく…よご…ちゃ…うよ?…ック…」 「別に大したことじゃない…それよか、んなに泣いてたら、目腫れるぞ」 そう言って鎧綺は稚林の顎に右手の指をかけ、顔を上げさせる。 鎧綺と稚林の視線がもろにぶつかった…。 「ほら…涙止まった…。なぁ、稚林、…キスしていい?」 「えっ!?」 稚林が答えを出す時間もない間に、鎧綺はもっと稚林を抱き寄せ、 稚林の顔をもう少し上げた。 「目、閉じろよ…」 2010/01/27(past up unknown) ← → 煌綺羅 TOP |