煌く綺羅の夜 -第十四章 朝に霧の立つ日- 朝日が昇っている。 もうしばらくすれば、彼も来るだろう。 煌瑚は村唯一の出入口で待っていた。 村の外に出るためにはここを通る以外には道はない。 ここで待っていれば、必ず、彼は、来る。 一晩で、目は治った。 声も、かすれてはいるが、出るようになった。 問題は、何もない。 部屋に、一応、手紙も残しておいた。 心残りは何もないはずだ。 彼への返事は、ここにある。 村のほうをみると、村の中心部から、こちらに歩いてくる人影が見えた。 彼は、自分の姿を認めた時、どんな顔をするだろう。 煌瑚はそんなことを考えて、微笑んだ。 「待ってたわ」 そう、近づいてきた人影に声をかけた。 その日は、彼らにとって新しい生活の始まりとなった。 この先、彼らは、いくつかの困難に出会うだろう。 一人では、押し潰されてしまうような時でも、彼らは、一人ではない。 彼らはきっと、乗り越えていけるだろう。 だから、今はただ、信じて進んでいこう。 <第十四章 終> 2010/01/26(past up unknown) ← → 煌綺羅 TOP |