DOTING 9 -煌く綺羅の夜- 次の日。一日中、天気もよく満天の星空。 六人は、村から少し離れたところにある小さな山の山頂にいた。 ちょうど、木々がなく星を観るのには絶好の場所だ。 「「わぁ〜すご〜い!!」」 蓮花と稚林の声が重なった。 「ほんとね」 朱璃も二人に同意する。 「酒持ってきたら、よかったなぁ・・・もったいねぇ」 そう鎧綺が言うと、緋耶牙が何やら肩から下げていた袋を漁る。 「葡萄酒とアブサンなら、一応、もって来たぞ」 そういって、酒のビンを掲げて緋耶牙は、ニカッと笑った。 「ナイス!緋耶牙」 「準備、いいな」 鎧綺に続けて、望遠鏡の設置を終えた由騎夜も言う。 「だろ?あーけど、由騎夜は焼酎のほうが良かったか?」 「いや、今日は飲まないから。さすがに、このケガに酒はキツくて」 「そうか?それなら、いんだけどよ」 男三人が酒トーク(?)を繰り広げている中、女三人は・・・――? 「で、名前で呼ばれるようになったんだ!」 「はいv」 「よかったじゃない!」 やはり、いくつになっても恋愛話に花が咲く。 少し男三人から離れているため、その内容は聞こえないが、嬉しそうに話す三人を見て 男三人も微笑んでいた。 「私と鎧綺は聞いたとき、びっくりしたけどね」 「アハハ、確かに『蓮花!?』って揃ってたもんね」 「ま、びっくりするでしょ。あの由騎夜が名前で呼び始めたんなら」 「おーい!こっち、こいよー!!」 緋耶牙がそこで、三人を呼んだ。 「行こうか?王子が待ってるから(笑)」 「「そうだねっ!」」 三人は一斉に駆け出し、それぞれの愛しい人の元へ急いだ。 「なんで、そんなに嬉しそうなんだ?」 鎧綺が訊ねる。が。 「「「ナイショ!」」」 というと、目を見合わせた三人はクスクス笑った。 それを見た、男三人は(((…可愛い…)))と思うのだった。 「望遠鏡のピントも合わせたから、もう観れるよ」 と由騎夜が言うと、一番近くにいた蓮花が最初に覗いた。 (…わぁ〜〜〜〜!!すごい、綺麗―…) 「すごいね、由騎!」 「れんちゃん、見せてー?」 「うん、すごい綺麗だよ!」 続けて稚林が覗く。稚林からはわぁ〜!!≠ニ声がもれた。 今日、皆を誘って良かったと、心から思う由騎夜がいた。 と、緋耶牙が突然、空に向かって叫んだ。 「朱璃ー、結婚しよ――!」 言われた朱璃は、嬉しさと恥ずかしさのあまり、今にも泣き出しそうだった。 蓮花と稚林は「やったぁ!」だの「よかったねー」だの、騒いでいる。 鎧綺はすかさず、「色男vv」と突っ込んだ。 由騎夜に限っては、(あー…仲人…)と既に思考をめぐらせている(笑)。 そんな中、また叫んだ人物がいた。蓮花だ。 「煌湖さーん!ヨーシュさーん!この空、観てますか――?」 鎧綺も「姉貴、元気か―?」と叫んでみたり。 由騎夜はそんな様子を、笑いながら木に寄りかかって見ていた。 そんな由騎夜に蓮花が気づき、近づいていく。 「由騎…?どうしたの?」 「ん?あ、蓮花。いや、どうもしないけど…俺はこんなケガしてても、幸せだなって!」 「?」 「皆といれて幸せだ」 そういうと、蓮花を抱き寄せてささやいた。 「…蓮花、愛してるよ…」 蓮花は赤くなりながらも、「私も」と小さく返した。 六人は夜遅くまで、そこで語らい盛り上がった…。 2010/01/25(past up unknown) ← → 煌綺羅 TOP |