DOTING 11 -煌く綺羅の夜-


次の日、蓮花が目を覚ますと既に由騎夜はいなくて…。
そのぬくもりからいって、かなり前に由騎夜が起きたことがわかった。
そして、居間に下りていくとテーブルの上には紙切れが載っていた。

おはよう、蓮花ちゃん。僕は今日から診療所を再開するよ。朝ご飯は一応用意したよ。
 美味しいかは、わからないけど。それなりだとは思う。何かあれば、診療所に

その文章は蓮花が杜樂に来て、間もない頃の由騎夜の様だった。

(蓮花ちゃん!?しかも、僕って…嫌われちゃったの?どうしよう・・・)

そこで蓮花はある人物を思い出す。

(あ!!朱璃さん!朱璃さんに、相談しにいこう・・・)

そうして、蓮花は泣きたい気持ちをグッと堪え、朱璃のもとへ相談しに行った。



「で…そういう訳なんですけど、朱璃さん…どう、思いますか?」
「う〜んとさ、1つ聞いてもいい?蓮花ちゃんは由騎夜が嫌なの?」
「え!?それはないです!!」
「じゃあ、ただ単に、その行為が初めてで怖かっただけ?」
「・・・はい、そうです・・・」
「(はぁ〜…)蓮花ちゃん、この前も話したけど、自分から切り出さないともう、まずいわ。由騎夜のことは、嫌いじゃないし、触れても欲しいんでしょ?」

蓮花は小さく頷く。

「それなら、尚更。一回拒否されたら当分、自分からなんて言い出せないし、行動できないよ。 それに由騎夜、哀しそうな顔してなかった?蓮花ちゃんが止めたとき」
「あ…そういえば…」
「でしょ?きっと由騎夜、自信なくしてる。何気に小心者だから、あいつ(笑)で、今夜にでも由騎夜の部屋で待ってたら? 驚くだろうけど、嬉しいと思うわよ?1回くらい拒否されたくらいで、嫌いにはならないから。ね?」

そう言って、朱璃は微笑みかけた。

「…はい!ありがとうございます、朱璃さん」
「いいのよ、どういたしまして」

それから、少しお茶をして蓮花は帰っていった。



その同じ頃、診療所に緋耶牙が例の栄養剤を取りに来ていた。

「今、蓮花ちゃん、朱璃のとこに来てたぞ?」
「え…?」
「珍しいよな、何か暗かったけど…」
「あッ・・・」
「何かやらかしたか、ついに?えー?由騎夜ちゃんどうなの?」
「…抱きたいって言ったら…否定されたっつか、拒否された…」
「マジ?」
「あぁ…」
「あ、だからお前、今日元気ないんだ?けどよ、朱璃のとこに行ったからには、もう大丈夫だと思うぞ。 自信もてよ!!したら、オレは帰るわ、じゃーな!」

そういうと、緋耶牙は栄養剤を手に帰っていった。
そんな緋耶牙の背中を見送りつつ、自棄のように由騎夜は前髪をぐしゃぐしゃと乱した。

(自信か・・・持てたら、こんなに暗くなんか、ならねーよ…)

その後、由騎夜は仕事が手につかなかった。



由騎夜が宿屋に帰ると、いつもテーブルのところに座っている蓮花の姿がなくて…。

(…?出て、いった?まさかな…)

不思議に思いながらも由騎夜は、じきに帰ってくるだろうと思い、自室に戻ると、そこに蓮花がいた!

「なっ、どうして、ここに!?蓮花、何かあったのか!?」

由騎夜は今朝の自分の態度も忘れ、珍しく動揺し、大きな声を出していた。

「ううん、何もないけど、由騎の帰りを待ってたの。おかえり」
「あ…うん、ただいま?」

何故か、疑問系になりながら、由騎夜は蓮花が座っているベッドに腰掛ける。

「で…どうしたんだ?」

普段よりも一層優しい声色で訊ねる。

「うん…。由騎、その…昨日はごめんなさい…」
「…?何が?」
「その…あの…ね?私のことを…」
「あ、…別に…気にしなくて、いいよ。まだ、待つのは覚悟したから」

そう言って笑いかけるも、やはりどこか由騎夜の顔は哀しそうで。
そんな由騎夜の顔を見て蓮花が言った。

「由騎!その、今日いい…よ」
「へ?」

唐突なものだから、由騎夜は間抜けな反応しか返せなかった。

「え?だから…今日ならいいよ…昨日は急で…その、心の準備が、出来てなくて…それでだから…」

一生懸命、蓮花は由騎夜に自分の気持ちを伝えようとする。

「…本当に?」

由騎夜が蓮花の言葉をさえぎる。

「う、うん…」

その真剣な由騎夜の瞳に蓮花は、少し恐怖さえ感じた。

「そっか・・・、もう少し待つの覚悟でいたけど…蓮花がそう言ってくれるなら、いいんだね」

今度は優しい瞳で蓮花を見つめる。その由騎夜の瞳をじっと見てから、蓮花は深く頷いた。
それを見て由騎夜は笑った。

「そんな構えないで。それより、まずはご飯食べよう?俺、お腹減ったよ」

と優しい笑みを浮かべて、由騎夜は蓮花の手を引いて部屋を出ていった。



2010/01/25(past up unknown)


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