Lighted Darkness
 -under children〜暗い陽の下の子供〜-



二十分後――とりあえず手当てが済み、イゼルは手を洗っている最中だった。
普段なら、いつも隣にいるはずのシェルシーナが今はいなかった。
「――サラ、大丈夫?」
「大丈夫だから、シリィはもうお休み」
そう言って微笑むサラの顔に誰かの顔が重なった。
「?」
イゼルは、誰だ?と思いながら先程、自分が医務室(ココ)まで運んだ女性と
別人ではないかと思う程、シリィには優しいんだなと思った。
すると突然、就寝のためにシスターと出ていったシェルシーナを見送ったサラが、イゼルに声をかけた。
「ドクター!…お手を煩わせてしまって、すまない」
「いや、仕事だ。構わない…それより」
「…?」
サラは目だけで問いかける。
「見た目より、随分軽いが…しっかり食事はとっているか?」
「…あまり…」
「だろうな…。しっかり食べないと、倒れてしまう」
「……。」
と、そこへシスターが戻ってきた。
「シリィは寝付きましたわ」
「そうですか。では、シスター私はこれで…」
「ありがとうございました、ドクター。でも、なぜ此処へ来られたのです?」
「たまたま近くに用がありまして…偶然ですよ」
そういってイゼルは爽やかな笑顔を見せた。
「でも、ドクターがいらして下さって助かりました。ねぇ、サラ…あら?サラ?」
シスターは慌てて窓の外を見る。
「まぁ!あの子は!ドクター、すみませんが、あの子についていってはいただけません?」
「構いませんよ。では、失礼します。しっかりと戸締まりして下さい」
「えぇ、下までお送りしますわ」

20100122(20060118) writer 深飛


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