赤く染まった目許



   気づいていた

   主が我に何か言いたそうなことくらい
  



   
   主が遠くから我を見ていることには 

   だいぶ前から気づいていた―――――だが

   何も言ってこない主に安心しきっている我が居て

   傍に来られるようなものなら   

   何を言ってしまうか――――それが分からぬから








   その日はたまたま偶然に
 
   そう何の因果か本当に偶然に

   二人は揃って同じ部屋で鉢合わせた   



   二人の他には誰も居ない――――――濃密な空気

   其れに耐えかね先に声を掛けたのは――――アンバー


   「最近・・・どうだ?」

   「どういう意味だ?」

   「いゃ…最近…何だか浮かない顔してたから…」

   「・・・その理由(わけ)が知りたいとな?」

   「いゃ、大丈夫なのかなって」
   
   「・・知りたいのならば、教えてやろう…但し、後悔するでないぞ」


  

   そう言うとエメラルドは強引にアンバーを引き寄せ 噛付きにも似た接吻を与える
   



   「―――――っ!!」




   アンバーは驚きに目を見開くが エメラルドはそんなアンバーを無視して 其の行為を深いものにしていく









   アンバーの息が上がってきた頃 ようやくエメラルドはアンバーをそっと離す

   ふと顔を覗けば――――

   上気し赤く染まった目許に今の行為以上の衝動を覚える




   「……エメ、ラルド?」   






   (此れ以上 一緒に居ると主を傷つけるやも知れぬ)





   其のアンバーの声に堪らなくなり

   エメラルドはそっとアンバーの傍から離れた





   主を傷つけたくはないからな・・・






    End

 2010/01/29 [20051104]

どきりとする10のお題[6]:創作者さんに50未満のお題
瑠璃のサイトで長編小説「RC」が完結祝後編です。
きっと、この後、エメラルドは自室に帰って大変だったと思われます。笑。
ってことで、前編はコチラ

創作者さんに50未満のお題より

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