DOTING 4 -煌く綺羅の夜-


稚林と蓮花は後片付けを全て終え、のんびりしていた。
そこへ、朱璃が遊びにきた。
「やっほ〜お二人さん」
「あ、朱璃さん!おはようございます」
「どうしたの?」
「うん?別にどうもしないけどね。何か、話がしたいな〜と思って」
「そうですか。ま、座ってください。今、お茶持ってきます」

そう言うと、蓮花は台所へと消える。

「稚林は鎧綺とうまくやってるの?」
「もちろん!」
「そう。稚林…前に比べたら、強くなったね!それは鎧綺の愛の力マジック ?」
「え?」
「だから、鎧綺といることで強くなったの?って」
「…?たぶん、そうだと思うけど…」
「ところで聞きたいことあるんだけど――」

と、そこへ蓮花が戻ってきた。

「朱璃さーん、お待たせしました〜」
「ありがと、蓮花ちゃん」
「何をお話ししてたんですか?」
「うん、ちょっとばかり彼氏とのことをね」

朱璃は蓮花に対してウィンクした。

「彼…氏、ですか?」
「で?朱璃がさっき言いかけたことは?」

稚林が切り返す。

「あー…うん。あのさ、二人とも…どの位のペースで寝てるの?」
「どの位って・・・」

稚林はちゃんと朱璃の質問を理解したが…

「毎日、きちんと寝てますよ?」

朱璃と稚林は思わず顔を見合わせて、ケタケタと笑い出した。

「え??ちーちゃん?朱璃さん?何か私、変なこと言いました?」
「アハハッ。蓮花ちゃん、面白すぎー!アハッハー…はー、腹筋痛い。変なことっていうか、蓮花ちゃん、まともに答えすぎー」
「???」

蓮花の頭では?がぐるぐるしている。

「…いきなり無粋な質問だね…どうしたの?」

稚林は飽く迄、答えることに躊躇いがあるらしい。

「うーん、一緒に住んでたらどの位のペースなのかなーって…」
「あー…朱璃は緋耶牙と一緒に住んでないんだもんね」
「そう。だから、一緒に住んでたらどうなんだろうって。もしかしたら、一緒に住み始めるかも…なんだ」
「「え?」」
「緋耶牙が、身固めるかー…ってぼやいてた」
「そうなの!?良かったね!式とか挙げるの?」
「するとしても内輪だね、って。蓮花ちゃん?何、ポケーっとしてるの?」
「え、あ、や、別に…」

そういうと、赤面して俯いてしまった。

「何、どうしたの?悩みがあるなら、姉さんが聞いてあげるわよ?」

そういって朱璃は笑う。

「…ひょっとして、由騎夜君のこと?…」
「え〜っと…はぃ」
「どうしたの?由騎夜、何かしたの?」
「いえ…お二人の話を聞いてですね?」
「「うん」」
「何と言うか…私には、魅力がないのかなーと…」
「「どうして?」」

見事にハモる朱璃と稚林に蓮花は少しビビる。

「いゃ、あの…由騎夜さんは優しいですし…その、私を好きでいてくれているのはわかるんですが…お二人が話しているようなことがないから…」
「…?なに、由騎夜もしかして、まだ蓮花ちゃんに手出してないの!?」
「手出す…って、朱璃…(汗)」
「あ、そうね。まだ抱かれてないの?」

その差は大してない気もするが…
蓮花は小さく頷くとまた俯いてしまった。

「はぁ―。由騎夜の奴…蓮花ちゃん?それは貴女に魅力がないわけじゃないと思うわよ」
「そうだよ、れんちゃん。れんちゃんは可愛いし、料理できるし、明るくていい子だよ!」
「それに、出るべきとこも出ててスタイルもいいし、細いし、天然入ってるし」

朱璃はどうも嗜好回路が親父っぽい…そう思っても、言わない稚林だった。

「で、でも!由騎夜さんは…そう思ってないかもしれないし…」
「それはないよ。あいつはちゃんと、蓮花ちゃんを見てるからわかってるって。ただ、あいつが手を出してこないのは(この表現が好きらしい…)きっと、自分に自信がないのよ。ま、これは長年の友人としての勘だけどね!」

朱璃の言葉はその通りだった。

「それに…大事にしてるんだと思うよ?れんちゃんのこと。鎧綺や…緋耶牙とは、違うから…」
「…稚林。」
「ん?」
「あんた、言うようになったじゃない」

そう言って朱璃は笑った。そして、何かを思いついたようにニヤリと笑って蓮花に一言。

「れんちゃん。自分から誘ってみたら?もしくは、迫ってみるとか…」
「で、出来ませんよー!そんなこと…」
「だって、話を聞いてたら、由騎夜に触れて欲しいみたいな感じするから…」
「いや、それは…」
「否定はできないよね?好きな人には触れて欲しいって思うし…」
「稚林のいう通りね」
「でも、でも、そうだとしても出来ないですよ!!」

蓮花は今度は恥ずかしさのあまり、真っ赤になった。

「「アハハ」」

稚林と朱璃は蓮花が可愛くてしょうがない様子。

「あ、そうだ!れんちゃん。今日もお昼持って、由騎夜さんのとこ行くんでしょ??用意しなくていいの?」
「あ!忘れてました!用意してきます!」

パタパタと台所へ駆け込んでいく後ろ姿を見ながら、朱璃が呟いた。

「由騎夜…ケガしたんだって?」
「あ…うん」
「その相手が…白梅枝都だって?…れんちゃん、気をつけたほうがいいかも…」
「え?それってどういう…」
「ま、いろいろね…」


2010/01/25(past up unknown)


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