煌く綺羅の夜 -第十四章 朝に霧の立つ日- 珍しく、そう、由騎夜にしてはとても珍しく、 夢を見ていた。 ―――幼い自分と、…村の若者…そして、姉。 『姉ちゃんを、離せ!』 若者に飛びかかる。 ―――どうして、こんな古い… 『どいてろ、ガキが!!』 ドサッ。相手に敵うはずがない。 ―――今になってこんな… 場面が変わる…つい最近の森での出来事だ。 『大丈夫?姉貴』 場面が瞬間的に変わっていく。 ――― 一体、何なんだ… そして… 『君たちは誰一人、煌瑚さんの苦痛に気づかなかった』 …ヨーシュからの… ―――何だっていうんだ、本当に 一気に場面が変わる。 知らない場面だ。 誰かが、姉・煌瑚の手を引いて連れていこうとしている…。 ―――待て!誰だ! 煌瑚が立ち止まり、こちらを向いた…。 何かを言っているが聞こえない。 が、その表情は今まで見たこともないくらい晴れた笑顔だった。 そこで、夢が途切れた。 由騎夜の感覚が少しずつ、しっかりしてくる…。 開けた視界の先はまだ暗い。 (・・・何時くらいなんだろ) 意味もなく身体を起こす。 「・・・誰だったんだ、あいつ・・・」 ふと、声が洩れた…。 (けど…姉貴、幸せそうな顔してたよな…。…姉貴を幸せにしてくれる人か…) ふいに、一人の青年の顔が頭をよぎり、その後一人の女の子の顔が…。 ( そんな気がした・・・。 (姉貴も・・・嫌いじゃないみたいだし・・・) 知らず知らず笑顔になる・・・。 と、後に浮かんだ女の子のことを思った・・・。 (鎧綺も この夏…蓮花とヨーシュが杜樂に来てから、 怒涛の如く流れた日々は今までの18年間より深い意味を成していた気がする。 そう、とても深い、重い、かけがえのない日々だった。 ( 間もなく、夜が明けようとしている…。 2010/01/26(past up unknown) ← → 煌綺羅 TOP |